[映画評論] アウトレイジ最終章の総評

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アウトレイジ最終章の総評
私は、キッズリターンから20年来の北野武監督のファンである
映画の薀蓄、御託、星の数、ストーリー説明などは大手サイトにお任せする
私個人としての感想をツラツラと書いていきたい
西田敏行さんの圧巻の演技力
まず、一番目を引いたのは、
西田敏行さんのシワの1つ1つまで緻密にコントロール出来ているのではないかと思わせる程の演技力である
劇中での迫力という意味では、アウトレイジ・ビヨンドに軍配が上がるが、男の渋み、深み、不気味さ、腹黒さの
表現では、本作品で誰よりも群を抜いていた
普段、探偵ナイトスクープでしか西田敏行さんを観ていない方は、一見の価値がある
頸椎亜脱臼のアクシデントの影響を心配したが、それを全く気にさせない圧巻の演技力であった
本作品での主役であることは間違いない
塩見三省さんの俳優としてのプライド
塩見三省さんも脳出血による後遺症が残っている状態での本作品の出演となった
辛辣な言葉を使えば、ヤクザとしての迫力は無く、セリフにも力が乗っておらず、スカスカ感があった
だが、クスリを多用した老いたそれを想像すると、妙にリアルな演技でもあったとも言える
作中では後遺症の影響か、演技で表現しきれず悔しさを滲ませるような場面があった様に思えた
その状況下においても、俳優として最後まで演じきるプライドを感じ取れる作品となっていた
当然、北野武監督もこうなることは分かった上での起用であっただろうし、
本当に演技がダメであれば、途中で殺めてしまい別の展開を見せることも可能であったであろう
そうしなかった理由を熟考していくと、作品、監督としての立場を外れて、人との繋がりを大切する姿勢を
感じずにはいられなかった
仁義なき戦いシリーズから続く、大友組を北野武監督なりに表現した結果ではないかと推測している
結末
ストーリーの最後は、北野武監督が演じる大友が自らの銃で自殺し、幕を閉じる
バイオレンス映画、アニメ、漫画、小説の結末は、やはりこうでなくてはならない
暴力や戦争の果に、自分の幸せや平和が訪れるという考えは、未熟な者の思考回路であり、
それは間違いだ。という強いメッセージを最後に持ってきたところは、流石としか言い様がない
以上
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